中学受験・・・
進学校だったため、勉強して当たり前、食べるように、眠るように勉強をしていた。
受験校も、自分で行きたいということも無く、偏差値で入れる学校＋α　を目指してただけ。
そこに自分の意思は、無い。

滑り止めに落ち、地獄。
誰も何も言わない。　そこに私は・・・・居ない。
部屋から出てはいけないという雰囲気を感じていた。
誰とも話さない、何もせず、ベットに寄りかかっているだけの３日間。
全ては、終わった。　と感じた１２歳の春。

第一志望校に合格、部屋の扉が開いた。
周りの人が、早口に喜びを口にする。
滑り止めに　入学金を払わずに済んだ。親孝行だと　他人に話す。
部屋を出ることが、動くことが許された気がした。

　　　大学受験・・・
行きたかったのは、芸術学部の演劇学科。
でも、言えなかった。
有名な普通大学に進むのが、当たり前の雰囲気の中で。

自分で調べて、自分で受験費用を出し、こっそりと受験。
合格・・・・嬉しかった・・・・・・直ぐに　両親が働く診療所へ報告へ。
合格を聞いて、母は、「　え～・・・・・・・　」と眉間に皺を寄せてガッカリしていた。
喜びは終わり。　行きたい大学に合格したことで、家の中が重苦しい空気に変わった。
「　そんな学校に行ったら、嫁の貰い手が無くなる。　」「家族から芸能人なんか出るの嫌よねぇ。　」と。
私にではなく、母は、私以外の人達に　何度も言っていた。
私は、家族にとって、　悪いこと　をしたんだ。

父に入学金を払って欲しいと、行きたいと、話せずに納入最終日。
ずっと合格通知書を　見て過ごした１８歳の春。

親を説得しなかった自分が、選んだ道なんだと　そう思い込んで、生きてきた。

自分のしたいことをしてるわけでは無いのに、結果で天と地の差が有った。
自分のしたいことをしたから、家庭内は、暗くなった。
何が、良いことで、何が良くないことのか、分らなかった。

母の思う通りの　成果を上げることしか、良いことは無かった。
正しいか、正しくないか　をいつも問う。けど、判断基準は自分の中に無い。
では、今、どうしたら良いのか混乱した。

先生が、演劇学科に受かるって凄いよねぇ。と言ってくれた。
受験内容の話から、２次試験の独り芝居を　思いだし、話した。

舞台に応接セットと小さな丸太。
客席に試験官の先生が数人。
「　はい、独り芝居の寸劇をして下さい。　」とだけ言われ、やった。
あがりもせず、緊張もせず、何かが降りてきたとか、そんなモノもなく、
ただ、そのセットを見て、妄想を具現化していっただけ。

試験官が、セリフや表情に　笑ったりする反応が嬉しくて、ノリノリでやったことを思い出した。
楽しかった・・・・・・。

先生に言われた。
何も考えずに、ポンポンと直感が出てきてる自分だったんだね。
その時の　自分を思い出して。＾＾

あ・・・・・・・・過去の私に救われた。
私は、出来たんだ。そう思った。
誰かに「出来るよ！」「大丈夫」「自分を信じて」と言われるより　その数倍の力を貰った。
他の誰かじゃない、自分がやったことが有るんだから。
自分は、出来てたんだと。　出来る自分なんだと。

正しいか、正しくないか、誰が判断基準を決めるのか、なんて、もうどうでも良くなった。
まだ、はっきりとは、その感覚を思い出せてはいないけど、何度も思い返していこう。

本当は行きたかったんだねぇ・・・と先生。
涙が出た。
あの大学には進めなかったけど、あの受験は、今やっと、私の糧となるんだろうなぁ。
・・・・ひとつ、抜け出れました。
ありがとｗｗ先生。

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