『 さみしさの周波数 』
2010/07/08 19:35:44
角川書店 (角川スニーカー文庫) (2002/12)
「おまえら、いつか結婚するぜ」―未来を「予報」されてしまった僕と彼女は、
それきり視線を合わせられなくなった。
そして数年後、再会した僕らは?胸にしみる乙一流ファンタジー!
未来を予言されたのは小学生のころ。
それきり僕は彼女と眼を合わせることができなくなった。
しかし、やりたいことが見つからず、高校を出ても迷走するばかりの僕にとって、
彼女を思う時間だけが灯火になった…“未来予報”。
ちょっとした金を盗むため、旅館の壁に穴を開けて手を入れた男は、とんでもないものを掴んでしまう “手を握る泥棒の物語”。他2篇を収録した、短編の名手・乙一の傑作集。
乙一(おついち)
1978年、福岡生まれ。17歳の時に『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
* * * * * * * * * * * * * * * * * * 以上 amazon 商品説明 から * * * * *
以前、『 死にぞこないの青 』を紹介しました。
このリンク記事↑の中に 乙一さん出演の YouTube をリンクしてますので、
ご興味のある方はどうぞ。w
乙一さんのグロじゃない世界の作品です。
就職せずに小説だけで食べていけるものかと危機意識せまる生活の中、「雑誌でせつない話の特集をするから 書いてくれ」と編集者に誘われた。しかし、「せつない」というしばりが、きつかったと・・・・。
もう「なんとか特集」の時は、金に目がくらんで、仕事を引き受けたりしないぞと決心したにもかかわらず、「こわい話特集に何か書いてください。」というオファーにあっさり「わかりました」と返答し、また「しばり」に苦しんだらしい。www
好きなことを 仕事にしても、やりたいこと、楽しいことだけやってるんじゃ
食べてはいけないものねぇ。
好きな仕事にも、嫌いじゃない仕事にも、苦しいことはあるし、
合ってないような仕事の中にも、楽しみはある。
そんな状況下で生まれた4編です。
ご本人は、「 手を握る泥棒の物語 」がお気に召しているようですが、
私は「 失われた物語 」に惹かれました。
実際には有り得ないだろう状態だけど、植物人間となってしまった人の現実的内面に迫るものを感じました。
「 どんな状態になっていても、『それでも生きていて嬉しい』という人はいるんだ。 」
という人や報道もあります。
「 それは、ほんの一握りで、その言葉も家族や付きそう人々への感謝の意ではないかと感じる。 」
という医療従事者もいます。
自分の大切な人が、植物人間になったとき、その思いは・・・・。
「 未来予報 」「 手を握る泥棒の物語 」はamazon商品説明で十分なので他2作だけ。
「フィルムの中の少女 」・・・大学の映画研究会部室で見つけた封印されたフィルム。
そこに映っている制服の少女は、再生するたびに・・・・・
「 失われた物語 」・・・結婚し、子供も授かり、まぁソコソコの生活。
有る日、交差点で停車中、運転席の窓が不意に暗くなった。
振り返るとトラックの正面が陽光を遮って目の前にあった。
・・・・肉塊となった彼が、決心し、とった行動とは・・・・・。