『 くつしたをかくせ! 』
2010/12/24 19:42:53
光文社 (2003/11/25) 商品寸法: 18.4 x 16.8 x 1.2 cm
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「サンタがくるぞ! くつしたをかくせ!」
クリスマスの夜、大人たちはおびえながら子どもにそう言った。
雪の降る町で、砂漠の国で、南の海で。子どもたちは決してサンタに見つからないようにと、くつしたを隠した。犬やラクダに見張ってもらった子もいた。握り締めて眠った子もいた。
けれど翌朝には、世界中の子どもたちのくつしたにはおくりものが入っていた。
「たいへんだ! サンタがきたぞ!」
彼はだれなのか。なぜこんなことができるのか。大人は言う。
「サンタだから、それぐらいできるのだよ」。あいまいで、不思議だけれど、子どもたちはサンタの存在をそのまま受け入れるしかない。
最後のページで、空を見上げる子どもたちの顔にうかんでいるのは、単なる感謝の気持ちでも、喜びでも、恐怖心でもなく、畏敬の念に近いものだろう。乙一は、これまで幾度となく描かれてきたサンタ像をこわすことなく、けれどまったく新しいサンタのとらえ方を本書で提示してみせた。
『GOTH』などで知られるミステリー作家の乙一が手がけた初の絵本。
透明感のある美しい色合いの絵を担当するのは、「角川スニーカー文庫」の乙一作品の挿絵を担当してきた羽住都。 各ページに英訳を併録。
乙一ファンのお楽しみ、「あとがき」は今回もたっぷりあって、ガチャピンとムックを登場させたりと一見はぐらかすようでいながら、さまざまな示唆を与えてくれる深いエッセイとなっている。「プロフィール」にも、にやりとさせられる。(門倉紫麻)
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「 どうして、くつしたをかくすの? 」
「 こわいことがおこるからだよ。あたりまえじゃないか。」 パパはふるえながら言った。
「 サンタがくつしたに いたずらをするからよ 」 ママは答えた。
くつしたをかくしながら、こどもたちは考えた。
サンタは、くつしたに どんないたずらをするのだろう?
パパやママは、なぜサンタのいたずらを こわがっているのだろう?
サンタって、だれなんだろう?
暖炉の中、海の中、砂漠の中、犬の首輪に結びつけたり、くつしたをギュっと握りしめて眠ったり。
こども達は、あらん限りの知恵を絞って、靴下を隠します。
と同時に、様々な疑問を考えます。
それでも翌日、全ての靴下は膨らんでいる。
「 サンタはどうやって、ふくろをあけないままプレゼントを入れたのかな? 」
「 サンタだから、それくらいできるのだよ。 」 パパは言った。
「 こわい、こわい。サンタがきて、くつしたに いたずらをしていったのね。 」 ママは言った。
「 でも、いいものをくれたよ? 」
「 そうね。だけど、なんだかこわいわ 」
ママはそう言うと、ほほえみながら くびわからくつしたをはずした。
作者;乙一さんは、24歳の夏まで、ガチャピンやムックというのは、そういう生物であって、中に人間が入っているだなんて思ってもいなかったそうです。
真偽は不問で・・・・・そして作者は言います。
ああいう生物がフジテレビ内を歩いていて食堂や喫煙所で、だべっているものだと思っていました。
まさか中に人間が入っていたとは、夢やぶれました。
もちろんこの本を購入したお母さんは、子どもにそんなことを言ってはいけません。
あとがきも読ませないで、ガチャピンとムックは実在するのだと言うべきです。
なぜなら、その2匹は、ある意味で存在しないけど、また別の角度でみれば存在しているからです。
着ぐるみのキャラクターに 純粋に好感を持っていた頃って誰にでもあると思います。
幼いころ、デパートの通路をウルトラ系の怪獣が行進するというのに出くわした私は、ひたすら怯えていたのを思い出しました。( ^∇^ )
知恵を絞り、親の言うことにも素朴な疑問を持ち、明確な正しい答えを 与えられるのではなくて
自分自身で、感覚的に体験する。
自己の確立と成長には、とても大切なことかもしれません。
ただし、恐ろしいサンタ像を植えつけ過ぎて、夜も眠れない・・・なんてことのないようにね。